この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。
「これでは上手くいかないだろう」
「こんなことを言ったら、何か文句を言われてしまうんじゃないか」
「こんな資料では理解してもらえないんじゃないか」
私には、非常に失敗を恐れてしまうところがあります。
仕事でメール出す時、送信ボタンを押す前はいつもドキドキです。
それは自己評価が低いからなのではないかと思って、この本を読みました。
本書の概要
本書「自己評価の心理学」は、精神科医が「自己評価」のメカニズムを解説した本です。
自己評価が高い、低いという状態とはどういう状態なのか、子ども時代にどのように形成されるものなのか、 改善するにはどうすればよいかといった、自己評価に関するいろいろな側面に関して、実例を挙げて説明されています。
分厚いので、とっつきにくい本かなと読み始めましたが、事例が多いのと、途中で適宜コラムが挟んであったりしたので、思ったより読みやすかったです。
私の自己評価
本書の中には、自己評価に関する簡易診断も含まれています。2つあって、1つは自分の自己評価が高い状態なのか、低い状態なのかを診断することができます。もう1つは自己評価を改善すべきかどうかという点に関する診断です。 自己評価が低いことは、必ずしも悪ではないんですよね。
私の2つの簡易診断の結果は、自己評価が「中くらい」、「改善した方がいいところもある」という内容でした。
自分では少し意外でしたが、決して自己評価が低い訳ではありませんでした。
読んでいくうちに、低いことが問題というより、自己評価が不安定なことが、改善するべきポイントかなと感じるようになりました。 他人に批判されるなどのきっかけで、自己評価が低くなってしまう状態です。 本書の中にある自己評価が不安定な人の例に身に覚えのあるケースがありました。
参考になったポイント
自己評価を改善する方法と、そのための戦略についてが参考になりました。
自己評価を改善のための鍵
本書では自己評価を改善する対象を「自分自身との関係」「行動との関係」「ほかの人との関係」の3つの分野に分け、それぞれ3つの目標を「鍵」として挙げています。
必ずしもすべてを対象にする必要はないと書かれていますので、自分にあてはまる部分のみを考えれば良いでしょう。自分がどこに最も改善が必要かは簡易診断で分かるので、その結果を参考にするとよいと思います。
ちなみに私は「自分自身との関係」の改善が一番必要なようです。
今回は9つの鍵について、キーワードのみ紹介します。具体的な例も挙げられているので、詳細はぜひ本書を読んでみてください。
自分自身との関係
- 自分を知る
自分の目と他人の目を使って、自分の能力や限界、長所や短所をきちんと自覚する - 自分を受け入れる
短所があるということを認めた上で、変えていく努力をする - 自分に対して正直になる
自己評価を守るために、自分の気持ちを否認しない
行動との関係
- 行動する
行動によって具体的に何かが変われば、そこからすべてが始まる - 自分の心のなかの批判を黙らせる
「きっとうまくいかない」「これでは十分ではない」といった、自分の心のなかの批判の存在に気づいて、その考えに対して次の質問をしてみる。「それは現実的か」「それによって楽しい気分になるか」「それによって現在の状況に立ち向かえるか」「それによって次はもっと良くなると期待できるか」 - 失敗を受け入れる
失敗は誰にでもある、いままでにもあったし、これからもあるだろう、ということをいつも頭にいれておく
ほかの人との関係
- 自己主張をする
きちんとした自己主張ができるようになると、自分の希望を通したり、人から尊重してもらえるばかりではなく、気分が安定して自己評価が高まる - ほかの人の気持ちや立場を理解する
全面的に賛成しなくても良いので、相手の主張に共感できるようになる - 社会的なサポートを受ける
まわりの人との関係をよくし、その支持や援助を受ける
自分を変えるための戦略
また、鍵を達成し、自己評価の変革をうまく行うための戦略として次の3つが挙げられています。具体的な目標をたてる上での指針になると思います。
- 不平や不満を目標に変える
「もううんざりだ」という代わりに「じゃあ、こうしてみよう」と言い方を変える - 達成の容易な目標を持つ
- 中間的な目標を設定する
「仕事が面白くない」ので「情熱的な仕事につきたい」のであれば、まず「特別な資格をとる、求人広告に応募する」といった達成が比較的容易な目標を立て、それを実現する
まとめ
自己評価は友人関係や仕事だけでなく、恋愛、結婚、子育てなど生活の色々な場面で、自分の考え方や行動に大きな影響を与えます。その特性や改善に関する知識を身につけることは、日々の生活を充実させるのに、きっと役に立つと思います。
今回はごく一部しかご紹介できていません。
豊富な事例で自己評価との付き合い方が見えてくる本です。興味のある方は是非読んでみてください。