藤井太洋 著「オービタル・クラウド」 - リアルな近未来を描く超オススメのSF長編 [書評]

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藤井太洋さんの「オービタル・クラウド」を読みました。

藤井さんといえば、私が昨年読んだ本のベスト5に入れた「Gene Mapper -full build-」を書かれた方。

期待に違わず、本作も読み始めたら止まらなくなり、通勤の電車内と昼休みを使って一気に読んでしまいました。

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出てくる設定や技術が超リアル

藤井さんの作品の特徴は、登場する技術や時代背景に非常にリアリティがあること。そして、SF小説なのですが遠い未来ではなく、数年先の近未来を舞台にしていることです。

本作も宇宙を舞台にしたテロがテーマなのですが、6年後の2020年をメインの舞台にしています。

登場人物もJAXAや北米航空宇宙防衛軍(NORAD)、CIAと実在の組織に属していたり、テロを仕掛けるのが実在の国家だったりとリアルです。

今から6年後の世界がどのような経緯で、どのような状況になっているのかが、きちんと説明された上で事件が起こります。単純な空想に基づくSFと違い、読んでいて本当にあってもおかしくないように思えてきます。

本作は登場人物がこれまでの作品と比べて多いのですが、この人達が皆、スキルが非常に高い人達ばかりで敵も味方もかっこいい。ストーリー展開も巧みで、読み終わって「お見事」と言いたくなる出来でした。

Amazonのレビューコメントでも書かれていましたが、本作は映像として観たい作品。映画化されないかなぁ。

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過去の作品も超オススメ

本作は、宇宙工学、それに軍事技術や国際事情といった面で、膨大な知識量に基づいた作品になっています。藤井さんは、過去の作品でもバイオ・テクノロジー、今話題の仮想通貨といったテーマで、本作と同様にその知識量と緻密な設定に基づく作品を書かれています。

「UNDERGROUND MARKET」シリーズは、読んでおくと仮想通貨が広まると、どのような将来が想定されるかを含めて理解が深まります。最近の「ビットコイン」の騒動を予期していたのかと思うくらい。

その多才さには驚くばかりなんですが、どの作品も超オススメ。
ぜひ、まとめて読んで藤井太洋ワールドにはまってみてください。

この記事を書いた人

阿部 雅彦 (まさ)

1971年 大阪市生まれ。現在は東京の下町に在住。
都内のメーカーで技術系スタッフとして働くサラリーマンブロガー。
高3と中2の二人の息子の父。
iPhoneアプリを駆使して毎日の行動を記録。人呼んで「変態ライフロガー」。