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「なんで、あいつはいつもそうなんだ」
「何度も言っているのに、どうしてわかってくれないんだ」
「そういうことを言うから、自分はこうするんだ」
人とコミュニケーションする中でこのように考えていることはないでしょうか。
この本を読んで、日々ついこのように考えてしまう自分の考え方をどのように変えれば良いのか、ヒントをもらうことができました。
「外的コントロール心理学」と「選択理論心理学」
本書では、人と関わる際に知らず知らずに身につけている人の心や行動に対する考え方として、「外的コントロール心理学」と「選択理論心理学」という2つの考え方を紹介しています。
「外的コントロール心理学」は、人を自分の期待通りにコントロールしようとする考え方。私たちの多くは、知らず知らずにこの考え方を身につけてしまっているといいます。
人に対する「そうなってくれるといいなぁ」という期待は、大事な人に対してその思いが強いほど「そうならなくてはならない」という自分の期待を押しつける行動に結びつきやすくなってしまいます。
そのため、外的コントロール心理学の考え方に捉われてしまっている人は、文句、脅し、責める、罰を与える、批判する、褒美で釣る、ガミガミ言うといった、人間関係を破壊する致命的な7つの習慣を身に付けてしまいがち。
この背景にあるのが、「自分は他人をコントロールすることができる」、「言うとおりにしない人に、何らかの方法で言うことを聞かせることは正しいことである」という考え方です。
人は誰しも「自分のことは自分で決めたい」、「他者から強制・管理されたくない」と考えます。そのため、お互いが外的コントロール心理学の考え方で接していると、人間関係が悪化する可能性が高くなってしまいます。
一方、「選択理論心理学」は、「人は自分の行動しかコントロールすることができない」、「相手(自分)が自分(相手)にしたり、言ったりすることは、数ある情報の一つに過ぎず、それに対して、どんな行動や態度を選択するのかは自分(相手)次第である」という考え方です。
「あの人が文句を言うから、私は憂鬱になった」というのは「外的コントロール心理学」に沿った考え方です。それは実は 「あの人が文句を言ったことに対して、私は憂鬱になるという行動を選んで」いるのです。「選択理論心理学」によって、自分の行動は自分にしかコントロールできないということを理解することで、「あの人は文句を言うが、私はできることをして元気に過ごそう」と、自分の行動を選択することができるのです。
「選択理論心理学」の考え方を身につけるため、まず以下の「身につけたい7つの習慣」を実践したいと思います。 これらの行動は相手をコントロールしようとするのではなく、相手を理解して相手の選択を尊重しようというもの。自分との違いがあれば、相手をコントロールするのではなく自分の要求をリクエストして擦り合わせていこうという行動です。このような行動をとり自分が変わることで、相手を変えようとするのではなくまず人間関係を変えていこうとすることが私たちにできることです。
- 耳を傾ける
- 励ます
- 尊敬する
- 受け入れる
- 違いを交渉する。調整する。話し合う
- 信頼する
- 支援する
行動のメカニズム
私たちの「行動」には、必ず「行為」「思考」「感情」「生理反応」の4要素が1セットになっています。
例えば、マラソンという「行動」には、走るという「行為」、ペース配分やタイムを考える「思考」、「気分が良い」や「しんどい」という「感情」、そして汗が出たり、血圧が上がったりという「生理反応」が1セットが密接に連動しています。
この行動の4要素のうち、「行為」と「思考」が車でいう「前輪」、「感情」と「整理反応」が「後輪」に当たります。 人が自分の意思でコントロールできる「行為」と「思考」は、ドライバーが操作できる「前輪」と同様です。この2つをコントロールすることで、1セットである「行動」をコントロールすることが可能になります。
選択理論の考え方では、「すべての行動には目的があって、その行動はその人自身が選択している」といいます。
例えば、「落ち込み」という行動では、「憂鬱」という「感情」や「身体のだるさ」といった「生理反応」はコントロールできません。 ただ、1セットである行為の前輪である「行為」や「思考」をコントロールすれば、必ず「感情」や「生理反応」に変化が生じるといいます。なので、落ち込んでいるからといって、「誰にも会わず、食事もせず(行為)」、「くよくよ否定的なことを考え続ける(思考)」憂鬱続行ロードを選ぶのではなく、「とりあえず誰かに連絡して、一緒に食事をして(行為)」、「自分にも良いところがあると考える(思考)」元気回復ロードを選ぶことが、気分や身体を含めた全体的な行動の改善を選択することになります。
まとめ
今回紹介したのは、本書のごく一部。 身近な例と共に、選択理論に基づく考え方が解説されていて非常に読みやすい本です。
対人関係における、あなたの考え方に影響を与えること確実の1冊です。 お薦めします。