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良いアイデアを思いついても、それを何らかの形や行動に繋げなければ、それは思いつかなかったのと同じです。
では、アイデアを形や行動として実現するには何が必要なのか。
そのことについて書かれているのが、今回読んだ「アイデアの99%」です。
読む前は「アイデアを思いつく方法」に関する本だと思っていましたが、まったく違う内容でした。
この本で書かれているのは、「1%のひらめき」で生まれた、「アイデアを実現するための方法」です。それも個人というよりは、組織的に成果を出すための手法に重点が置かれています。
日本語訳版のタイトルである「アイデアの99%」は「天才とは1%のひらめきと99%の努力である」というトーマス・エジソンの言葉からきているようです。ここでいう「99%の努力」には、ひらめきを産むための努力に加えて、ひらめきを形として実現するための努力が含まれています。
ただ、現代の「Making Ideas Happen (アイデアの実現 )」の方がストレートで分かりやすいです。
アイデアを実現する3つの力
アイデアを実現する力は、発想力、整理力、仲間力、統率力から構成されると、この本では説明しています。「1%のひらめき」を産む発想力については扱っていません。
発想力以外の整理力、仲間力、統率力の3つの力が、生まれたアイデアを、形にして、世に送り出すことを継続していくために重要なのです。
整理力
メモやノートにアイデアを書き出して、そのままになっていたりしませんか?
「整理力」は「物事をきちんと整理し、次々と片付ける」ための力です。
良いアイデアを思いついても、そのままではそのアイデアを実現することはできません。
実現のために必要なアクションは何なのか。そのうち優先すべきアクションはどれで、人に任せられることは無いのか。
この本では、思いついたアイデアを「アクション・ステップ(やるべきこと)」、「レファレンス(参考資料)」、「バックバーナー(後回しにすること)」に分類して整理する方法を「アクション・メソッド」として、実行のためのノウハウとともに紹介しています。
「アクション・メソッド」は、タスク管理の際に良く行う「GTD (Getting Things Done)」とよく似た考え方です。
仲間力
アイデアをよりよく洗練して、実現に繋げるには周りの力をいかに借りられるかも重要になってきます。
「仲間力」は「仲間を引き込み、コミュニティーの力を利用する」ための力です。
常にアイデアを考えている「夢追い人」は実行力に欠けることが多いといいます。
一方、実行の手順に常に集中している「片づけ魔」は、アイデアを行動可能な要素に落とし込むのは得意ですが、新しいアイデアを思いつくのが苦手です。
「夢追い人」と「片づけ魔」の「両刀使い」も居るそうですが、一つのプロジェクトを大々的な成功に導くケースは少ないといいます。
自分がどのタイプかを意識して、欠けている要素を持つ別のタイプのパートナーと組むことが重要です。
タイプに関しては、先日学んだ「ウェルスダイナミクス」の考え方が参考になります。アイデアを思いつくのが得意な人は、チームワークをうまく使えるタイプや、人を巻き込むのが得意なタイプ、仕組み化が得意なタイプとうまく組むことが重要なのだと思います。
統率力
アイデアを実現するために重要となる力の3つ目は「統率力」。これは「プロジェクトを率いる力」です。
アイデアを形として実現するクリエイティブなプロジェクトの質と希望は、そのプロジェクトのリーダー統率力にかかってきます。
チームがバラバラにならないよう、メンバーのやる気を維持するためには、報酬の仕組みを考えたり、チームの雰囲気を上げるために気を払う必要があります。
多くの企業が、このために色々な工夫をしています。
この本では統率力に関して、これらの事例を多く紹介しています。
まとめ
色々な記事などでタイトルをよく聞くのですが、ようやく読むことができました。
個人的にどうこうというよりは、組織の活動の中で考え出したアイデアを形にするために必要な力が整理されています。
翻訳書なので正直ちょっと取っつきにくい内容でしたが、タスク管理や、チーム管理、コミュニケーション管理について、具体的な事例を交えて網羅的に書かれている1冊。
会社やコミュニティで、リーダー的な役割を持っている方は、この本を読んで、考えた企画を実現するために重要なことは何なのかを意識するようにしましょう。